朝井リョウさんの『何者』、若者の裏の顔や共感できる内容もあって面白かった!
他の人の感想や考察も見て、さらに作品を楽しみたい!
この記事は上記の要望にこたえます!
今回は第148回直木賞を受賞した、朝井リョウさんの『何者』を読んでみました。
「鼻につくいけ好かない大学生」がたくさん出てきましたが、どこか彼らに共感してしまう部分もあり、とても感情移入できる作品でした。
そこで今回は、僕が感じた登場人物たちの隠れた魅力を語ってみました!
一緒に本作の「推しキャラ」を見つけませんか。
- 登場人物(拓人、隆良、光太郎、サワ先輩)の隠れた魅力を考察!
- 考察を参考にあなたの「推し」を見つけられる!
友達とおしゃべりするような感覚で気軽に読んでいただき、楽しい時間を過ごしてもらえれば嬉しいです。
【朝井リョウ 『何者』感想・考察】こんな話でした
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。
光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。
瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。
だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。直木賞受賞作。
引用元:新潮社
【朝井リョウ 『何者』感想・考察】裏アカ悪代官・拓人
拓人が理香の部屋にプリンターを借りに行った時、Twitterの裏アカで周囲の人間の陰口を叩いていたことを理香にさらされ、「傍観者として他人を馬鹿にし、自分は特別だと思い込んでる」と言われる場面。
まるで、時代劇で主役の侍(理香)にそれまでの悪事を暴かれ、成敗される悪代官(拓人)のようです。
時代劇では悪代官が成敗されると物語は終わりますが、『何者』では悪代官(拓人)の後日談が描かれています。
ラストの面接のシーンです。
改心した悪代官(拓人)は、”善良” に生きようと面接で自分自身をさらけ出し評価してもらおうとします。
しかし、自分自身をさらけ出してこなかった拓人の話し方はとても下手くそで、何を言っているのかわからず、面接官からひんしゅくを買っていました。
一方、一緒に面接を受けていた他の学生2人は自分の経験を自分の言葉で話し、志望動機へ上手につなげます。
2人の学生と対照的な ”元悪代官” の様子は、本当に無様でカッコ悪く、見ていられないものです。
元悪代官が ”善良な町民” になるにはもう少し時間がかかりそうです。
でも、自分自身をさらけ出して勝負することを決めた拓人は、前向きで希望に満ちていましたね。
Next≫ 大人は成敗すらされない
【朝井リョウ 『何者』感想・考察】大人になると成敗すらされない
物語の終盤、瑞月の内定祝いの席で、「自分が納得できないことをやる意味はない」と人生論を語る隆良。
しかし、しびれを切らした瑞月に成敗されました。
後日、拓人も理香に「内心人を馬鹿にして、自分は特別だと思ってる」と本質を突かれ、成敗されました。
2人の男たちはとてもきついことを言われ、ある種残酷なシーンではありますが、大人の僕からするとうらやましくもあります。
大人になると”成敗”すらされなくなるからです。
僕の実感ですが、自分がどんなに間違ったことをしていても、「間違ってるよ」と言ってくれる人は、大人になればなるほど少なくなる印象があります。
ほとんどの大人は、他の大人の間違った言動を見ても注意しません。(良い大人に注意するのは余計なお世話だという気持ちもある)
「愚かだな」と思われて終わりです。
きついことを言ってくれる瑞月や理香のような存在は、大人になると本当に貴重な存在であることを実感します。
クラブやスナックに通うおじさんっていますよね。
以前は、安くないお金を払って飲みにいくおじさんたちの心理がいまいちわかりませんでした。
しかし、『何者』を読んで少しおじさんたちの気持ちが少しわかりました。
おじさんたちは普段叱られることがないから、叱られたくて通ってるのではないかと。
実際、スナックの世界では「叱る」ことはおもてなしの1つと考えられているようです。
Next≫ 強がりギャップ萌え・隆良
【朝井リョウ 『何者』感想・考察】強がりギャップ萌え・隆良
斜に構えすかしていた隆良ですが、実はナイーブでどこか憎めないところもあり「強がりギャップ萌えキャラ」としての片鱗が見え隠れしていました。
例えば、以下のようなシーンから隆良の人柄が伺えます。
1時間前に私服で試験会場へ行く
「就活とかいう社会の波に流されたくない」「俺は俺で生きていたい」「就活就活言ってるやつは想像力がない」とか言ってカッコつけていたのに、広告代理店の筆記試験を受けていた隆良。
しかも受付の1時間前には会場に来ていて、しっかりとトイレを済ませ準備万端で臨もうとしていました。(笑)
ただ、個性を失いたくないので、私服で試験会場に行っちゃうのが隆良です。(笑)
いじられていたことを気にして、家着をスウェットに変える
物語の終盤、家着をチノパンからスウェットに変えていました。
階段を上っていたら、隆良が下りてきた。
「あれ、おかえり」
スウェットにメガネ姿の隆良を初めて見たから、一瞬、誰だか分からなかった。
引用元:新潮社『何者』293P
おそらく理香から、拓人に裏アカで「家でもチノパンを履いてる」といじられていることを聞かされ、それを気にして部屋着をスウェットにしたのでしょう。(笑)
普段はすかしていますが、意外にナイーブなようです。
彼女のために深夜のコンビニに携帯を探しに行く
理香がコンビニに携帯を置いてきたかもしれないというので、煙草を買いに行くついでに理香の携帯も探しにいった隆良。
携帯を見つけて帰ってくるやいなや「コンビニのトイレに置きっぱなしだったよー」と理香に報告していました。
こういう彼女思いなかわいい一面もあるため、やはり憎めないキャラです。
もしも『何者』がアニメ化、マンガ化されたら、隆良は『推しキャラ』として人気になる素質をもっているのではないでしょうか。
隆良の人柄はスピンオフの『何様』で描かれているかもしれませんね。
\登場人物たちのその前・その後を描く続編/
Next≫ ミステリアス陽キャ・光太郎
【朝井リョウ 『何者』感想・考察】ミステリアス陽キャ・光太郎
明るくてノリがよく、コミュニケーション力も高いため、誰とでも仲良くなれる光太郎。
しかし、本心をほとんど見せないため、本当はどう思っているのかわからないミステリアスな部分があります。
例えば以下のシーンからも本心を見せない光太郎の人間性がが伺えます。
- 瑞月との恋愛について、ルームメイトで仲のいい拓人にさえ話さない
- 就職活動中、周りの人間に悩みや不安などを見せなかった
(終盤、タクシーで拓人と自宅へ帰るシーンで少しだけ見せた)
陽キャでありながらミステリアスな部分に「本当はどんな人間なのか」と興味を惹きつけられる人物です。
瑞月は光太郎の隠れた本心を見て、本気で好きになったのかも。
Next≫ 至高のイケメン・サワ先輩
【朝井リョウ 『何者』感想・考察】至高のイケメン・サワ先輩
瑞月に自分が働いているバイト先を紹介した拓人。
しかし、そのことで強力な恋敵が現れてしまいました。
同じバイト先で働くサワ先輩です。
作中のサワ先輩は、女の子にモテる要素が満載の人物です。
- 後輩に慕われている
- 面倒見がいい
- 悩みを打ち明けやすい
- よくないことを注意してくれる
- 余裕がある
何より、瑞月もバイト先でサワ先輩のことを信頼し始めていました。
とりあえずのビールと御通しがでてきたあたりで、ちょうどサワ先輩がシフトを終えたので、そのままこのテーブルに加わった
(中略)瑞月さんは教育係のサワ先輩がいなくなって不安そうな顔をしたけれど、そのままこのテーブルに残ったのを見て、また安心したように料理を運び出した。
引用元:新潮文庫『何者』273P
やばいぞ拓人!注意すべきは光太郎じゃなくてサワ先輩だ!
Next≫ まとめ 続編『何様』も気になる!
【朝井リョウ 『何者』感想・考察】まとめ
今回は朝井リョウさんの『何者』について感想・考察を語ってみました。
まだ「推し」が見つかっていないという方は、今回考察した人物以外も含め、ぜひ見つけてみてください!
スピンオフの『何様』では、理香と隆良の出会いや、社会人になったサワ先輩、瑞月の父の真相、ギンジの現在などが描かれているということなので、こちらもいずれ読んでみようと思います。
\登場人物たちのその前・その後を描く続編/
個人的にはサワ先輩という、強力な恋敵があらわれた拓人の恋の行方も気になりますが。(笑)
ではまた!
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