『十二人の手紙』のネタバレ感想!登場人物と作者へ手紙を書いてみた!

井上ひさしさんの『十二人の手紙』が面白かった!
他の人の感想も見て作品の世界をより楽しみたい。

この記事は上記の要望に応えます。

先日、井上ひさしさんの隠れた名作『十二人の手紙』を読みました。

40年以上前に書かれた作品ですがとても読みやすかったです。

また、衝撃の結末の連続に驚かされっぱなしで、各短編に仕掛けられた『趣向』には舌を巻くばかりでした。

そこで、僕も趣向をこらして今回の記事では、登場人物と作者に手紙を書いてみました!

この記事の内容
  • 鹿見木堂氏への手紙(第7話『鍵』参照)
  • 水原友子さんへの手紙(第12話『泥と雪』参照)
  • 井上ひさし先生への手紙

気軽な気持ちで読んでいただき、楽しい時間を過ごしてもらえれば嬉しいです。

目次

【十二人の手紙 感想】こんな話でした

キャバレーのホステスになった修道女の身も心ボロボロの手紙、上京して主人の毒牙にかかった家で少女が弟に送る手紙など、手紙だけが物語る笑いと哀しみがいっぱいの人生ドラマ。

引用元:中公文庫『十二人の手紙』裏表紙の内容紹介

【十二人の手紙 感想】登場人物と作者への手紙

作中の中で気になった人物と井上先生宛てに手紙を書いてみました。

手紙を出す相手は以下の方々です。

CHECK
    • 鹿見木堂氏(第7話『鍵』参照)
    • 水原友子さん(第12話『泥と雪』参照)
    • 井上ひさし先生

鹿見木堂氏への手紙(第7話『鍵』参照)

拝啓
はじめてお手紙を差し上げます。
私は個人で書評記事を執筆し、世の中に発信している物書きのはしくれで、とおるという者です。
先の米沢市天元台ホテル立てこもり事件に関する、先生の見事な推理を人づてに伺い、大変感服いたしました。
そんな先生とどうにか交流を持てないかと思い、この度筆をとった次第です。
さて、あいさつもそこそこに大変恐縮なのですが、折り入ってご相談があるのです。
先生は今、風景画を描いておられるようですが、昔は美人画を描かれていたと知人より伺いました。
知人の話から推測した私の見解ですが、おそらくヌード画も描かれていたのではないでしょうか。
そこでお願いがあるのですが、先生がヌード画を描いているところを見学させてほしいのです。
当方、恥ずかしながら絵に対する造形や興味は全くありません。
完全な興味本位です。
私はただ、心の『スケベッチブック』に、若い女性の色気づいた裸体を刻みたいだけなのです。
ヌードモデルなら心配ありません。こちらで当てがあります。
20代の後半の女性で、まあ、かなりの性悪ですが見た目は良いと思います。
もし引き受けていただけるのであれば、お礼にセブンイレブンのプレミアム肉まんをおごらせていただきます。
ご希望ならフランクフルトとコーヒーもつけます。
ケチ臭いとお思いかもしれませんが、当方、あまり裕福な生活をしていないため、上記が精一杯です。
どうか前向きにご検討いただけないでしょうか。
良いお返事をお待ちしております。
敬具
11月11日 とおる
鹿見木堂様

水原友子さんへの手紙(第12話『泥と雪』参照)

拝啓
はじめてお手紙を差し上げます。
私は個人で書評記事を執筆し、世の中に発信している物書きのはしくれで、とおるという者です。
この度の米沢市天元台ホテル立てこもり事件で人質になり、無事生還されたことを新聞で知りました。
何でも人質のひとりは亡くなったそうですから、ご無事で何よりです。
さて、今回は被害者だったあなたも、別件では加害者であることを自覚されていますか。
あなたの悪行が外部にばれていないと思ったら大間違いです。
あなたは交際している不倫相手とその奥さんを別れさせるために、すでに亡くなっている不倫相手の友人(男性)を装って奥さんと文通を行い(実際に手紙を書いていたのはあなたが雇った若い男)、その気にさせたあげく、最後には離婚届に判を押させるといった企みを成功させましたね。
これは立派な犯罪です。
「有印私文書偽造罪」という罪にあたり、3か月以上5年以下の懲役になります。
奥さんの家には、あなたが送らせた手紙が証拠として残っているでしょうし、私が警察にこの件を話せばあなたはすぐに逮捕され、有罪判決を受けて刑務所へ収監されることになるでしょう。
そうなればあなたは20代の若い時期を獄中ですごし、出所後も前科者としての人生が待ち受けています。
ただ、条件次第でこのことを内密にしておくこともできます。
その条件とは、絵画のヌードモデルを引き受けていただきたいのです。
覚えていらっしゃらないかもしれませんが、先の立てこもり事件の人質の中に、鹿見木堂氏という画家先生がいました。
この鹿見先生が今、ヌード画のモデルを探していて、私はそのモデル探しを手伝っています。
しかし、なかなかよいモデルが見つからず困っていたところなのです。
もしモデルを引き受けてくれるのであれば、今回の件は墓場まで持っていくつもりです。
ちなみに当日は私もデッサンの様子を見学させていただく予定です。
画家と物書きの前でちょっと裸になるだけで、あなたは自分の人生を汚さずに済みます。
悪い条件ではないと思いますよ。
良いお返事をお待ちしております。
敬具
11月11日 とおる
水原友子様

井上ひさし先生への手紙

拝啓
先日、先生が生前執筆された『十二人の手紙』を拝読いたしました。
各話に仕掛けられたトリックに終始驚かされ、うならされ、あるいは恐怖するばかりでした。
特に『赤い手』ではほぼ公文書だけで主人公の人生を描き、読者に感情移入させてしまう技巧には感服いたしました。
また『シンデレラの死』では、ラストで主人公が存在しない相手と手紙を交わしていたことが明らかになった時は、しばらく鳥肌が立ちっぱなしでした。
ただ1つ疑問に感じたことは、本作品内に登場する女性に純真で可憐な女性が多いことです。
メルヘンチックな女性といってもいいかもしれません。
例えば『悪魔』や『里親』で、主人公の女性は親に送った手紙の中で、自分の名前を一人称として使っています。
また『ペンフレンド』のヒロインは文通相手の卑猥な手紙に顔を赤くして読めなくなり、『鍵』や『隣からの声』の妻は、夫の留守を寂しく思うばかりに、嘘の事件をでっちあげて夫に帰って来てもらおうとします。
私の考察ですが、先生がこういったメルヘンな女性を描いてしまうのは、先生が生前おモテにならなかった、いわば”非モテ”人種だったからではないでしょうか。
これらの女性たちは、まるで若い”非モテ”が、童貞をこじらせ妄想するような人物ばかりです。
大変失礼ながら申し上げますと、学生時代に教科書で先生のお顔を拝見した際、男女交際に相当苦戦していることは想像に固くありませんでした。
それが今回の『十二人の手紙』に登場したメルヘンな女性たちを見て、私の中でほぼ確信しました。
「井上先生も私と同じ”非モテ”で、こちら側の人間なんだ。だからこんなに親近感を持てるんだ!」と。
そういうわけで、今後も先生のお顔を拝み、作品を読んでモテない自分を励ましていきたいと思います。
大変失礼な手紙となってしまいましたが、決して化けて出て、私の首をしめるようなことをなさらないでくださいよ。
井上先生、素敵な作品を後世に残していただきありがとうございました。
敬具
11月11日 とおる
井上ひさし先生

まとめ

今回は『十二人の手紙』について、登場人物と作者の井上ひさし先生に手紙を書いてみました。

いささか下世話で失礼な手紙となってしまいましたが、何卒ご容赦いただければと思います。笑

ではまた!

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楽しい記事になっていますので、よかったら見ていってください。

りらっくすねこ

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