石田衣良さんの小説「娼年」面白かった!
ほかの人の感想を見てさらに作品の世界を楽しみたい!
この記事は上記のような要望にこたえられます!
今回は、石田衣良さんの小説『娼年』を読んでみました。
官能的でありながら青春要素もあり、とてもエモい作品でしたね。
そこで、本作を読む中で僕が特にエモさを感じた部分について、感想を書いてました。
- この小説がエロい秘密
- 読んだ後、女性の見方が変わった件
- マリコさんに買われたおっさん
友達とおしゃべりするような感覚で気軽に読んでいただき、楽しい時間を過ごしてもらえれば嬉しいです。
【小説『娼年』感想】こんな話でした
恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。
だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。
やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく……。
いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。
引用元:集英社文庫『娼年』裏表紙の内容紹介
【小説『娼年』感想】ネタバレ感想
この小説は”手”がエロい
読み始めて最初に感じたことは、「手がエロい!」でした。
最初の客であるヒロミさんとリョウが、昼にカフェでデートしているシーン。
テーブルの上に置いたぼくの手に、彼女が手のひらを重ねた。
引用元:集英社文庫『娼年』77P
指のあいだの薄い皮膚や関節を、細い指の腹が小筆のようにすぎる。
マニキュアをした爪の先が僕の爪の形をなぞった。
手の先がこれほど敏感なものとは思わなかった。
もはや手でセッ〇スしているといっても過言ではありません。
この場面を読んだ時、「こんな世界があるのか」「手だけでセッ〇スできるんだ」と、試す相手もいない35のおっさんの僕は鼻息あらく興奮しとりました!(マジキモくてすみません。)
”手”をテーマの1つにしている
この小説で”手”が1つのテーマになっているようにも感じました。
以下のシーンからも”手”がテーマになっていることを推察できます。
ななめうえからおりてきた手が、十歳のぼくの頬をはさむ。指先の冷たさが微熱をもった頬に心地いい。
引用元:集英社文庫『娼年』5p 冒頭の母親の記憶
セロファンのような着物のひざにぼくの手をおいて、自分の手を預けたままにしている。
引用元:集英社文庫『娼年』176P 老女との会話場面
笑いじわから鋭い視線をのぞかせていった。
「わたしは手をにぎっただけで、だいたいのことはわかる。あなたは悪くないねえ」
カウンターの上におかれた咲良の手に、ぼくはそっと自分の手を重ねた。
引用元:集英社文庫『娼年』215P ラストシーン
手のひらを返し、咲良が握りしめてくる。指と指が絡んだ。
サインをつくっていないときも、彼女の手はとてもたくさんのことを語る。
特に最初と最後に手の描写を入れているのが印象的です。
また、咲良を難聴者で手話で会話をするのも”手”をテーマにしている証拠の1つといえます。
作者の石田衣良さんは、手の表現を通して、女性の美しさや感情の揺れ動きを描きたかったのではないでしょうか。
女性に対する見方を変えてくれる小説
作中では下品な性描写がなく、リョウを通して一人ひとりの女性の美しさが描かれているのも印象的でした。
姫野カオルコさんの巻末解説にも、登場する女性の美しい描写がまとめられています。
同級生のメグミの外見を〈Tシャツの胸はつつましい〉と表現するし、三十代なかばのヒロミの乳房も〈張りは失われているけれど、指を指したらどこまでも埋まっていきそうな際限のないやわらかさ〉と、静香の顔も〈笑いじわのきれいな女性だった/僕は女性のしわに注意を引きつけられる〉と、七十代の女性の笑いも〈四十代、二十代、十代、そして四つか五つの幼い女の子のはじらいをふくんだ/花びら〉で、その体液は〈若い女性とはちがい、ねばりがなくさらさらとしていた〉と表現します。
引用元:集英社文庫『娼年』220P 姫野カオルコさんの解説
この小説を読んだ後、僕自身も「年配の女性に対する見方が少し変わった」かもしれません。
年配女性に対して、「老けてる」「太ってる」「二重アゴがある」といったネガティブな印象を持つことが減り、「肌白くてきれいだな」「雰囲気がやわらかいな」「笑顔がかわいい」などポジティブな印象を持つことが増えたような気がします。
マリコさんに買われたおっさんのドM力
マリコさんに5,000円で買われたおっさんがいましたが、僕が思うにこのおっさんは筋金入りのドMです。
若い女性に声を掛けられて性的な行為をし、ほんの数時間で5,000円稼げる。
宝くじに当選したような出来事が起きているにも関わらず、作中では全然嬉しそうではありません。
男はおどおどと視線を避けながら、背を丸めてぼくたちのあとをついてきた。
引用元:集英社文庫『娼年』92P マリコさんに買われたおっさんの描写
しかし、絶対に内心は喜んでいたに決まっています。
嬉しい気持ちを表に出さないのは、嬉しがって自主的にマリコさんについていくと、マリコさんに服従させられ、支配されているという精神的な立場が薄れる。
「薄れたらマゾ的な興奮を味わえなくなる。それは嫌だ!」と思っているからではないでしょうか。(笑)
わざと嫌々ついていくフリをすることで、ドMとしての快楽も楽しんでいる。
おっさんのドMとしての力量が光るシーンです。(あくまで推察です(笑))
【小説『娼年』感想】まとめ
今回は「娼年」の感想を語ってみました。
「娼年」は官能小説のようでいて、人間の内面に隠れている弱さや欲望を美しく描いた作品でした。
ちなみにこの作品は3部作で「逝年」「爽年」と続いているので、読んだら感想を書いてみたいと思います!
ではまた!
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